
司法試験・予備試験は独学で合格できる?独学のメリットや難しさも解説
司法試験は受験資格のハードルが高く、出題される問題が難しいため難関の資格とされています。
まず受験するためには法科大学院の課程を修了する必要があり、それ以外の場合は予備試験に合格しなければなりません。出題範囲は広く、専門的な知識が問われることも難関である理由の1つです。
そこで今回は、司法試験・予備試験が独学で合格できるのか解説します。
- 司法試験・予備試験が独学で合格できるか
- 司法試験・予備試験を独学で学ぶメリット
- 司法試験・予備試験の独学が難しい理由
司法試験・予備試験におすすめの通信講座もあわせて紹介するため、「独学は無理?」「どんな勉強法が良いの?」と悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
司法試験・予備試験は独学でも合格可能?
司法試験・予備試験への合格に向けた勉強方法にはさまざまなものがありますが、その中でも独学は特に難易度が高いです。しかし、合格するのは難しいですが不可能ではありません。
令和3年の司法試験では、受験者数3,424人に対し合格者数は1,421人であるため合格率は約41.5%※です。他の難関資格と比較すると、合格率はそこまで低くありません。
また、出題される内容は、法律の専門的な分野であり出題数も多いため難易度は高いです。
司法試験の受験資格
弁護士になるためには司法試験に合格する必要がありますが、司法試験は誰でも受験できるわけではありません。
司法試験・予備試験とは、法科大学院修了者と同等の実力を判定するための試験であり、合格すれば法科大学院の課程を修了していなくても、司法試験を受験できます。
司法試験・予備試験を独学で学ぶメリット
ここからは、司法試験・予備試験を独学で学ぶメリットについて解説します。
- 費用を抑えられる
- 自分のペースで取り組める
費用を抑えられる
独学で司法試験を目指す最大のメリットは、他の方法と比較すると費用を抑えやすいことです。
しかし、これらの方法は料金が高く数十万円近い費用がかかるケースは珍しくありません。他にも、受験費用なども発生するため受験に関する費用は高くなりやすいです。
独学であれば、参考書を購入するだけで済むため、費用は数千円ほどになります。費用をできるだけ抑えて司法試験を目指したい人におすすめの方法です。
自分のペースで取り組める
独学は自分のペースで学習に取り組めることも大きなメリットです。例えば、予備校やスクールを利用して学習する場合、決まった時間に教室に通う必要があります。
そのため、時間的な制約と通い続ける手間がかかるでしょう。社会人で働きながら司法試験・予備試験を目指す場合、仕事の後の時間を活用して通わなければなりません。
司法試験・予備試験を独学で学ぶデメリット
司法試験・予備試験は独学で学べますが、出題範囲や数が多いので難易度が高いです。
この章では、独学で学ぶ具体的なデメリットを3つ紹介します。
- すべての工程を自分でしなければいけない
- スケジュール管理が難しい
- 相談する相手がいない
- モチベーション管理が難しい
すべての工程を自分でしなければいけない
独学は頼れる人がいないので、自分ですべての工程を行わなければいけないのが大きなデメリットです。
参考書選び、過去問の出題傾向の確認、答え合わせ、疑問点のリサーチなど、1人で行うには非常に膨大な量なので、多くの時間を要してしまいます。
司法試験は受験資格の有効期限が決められているので、いかに効率よく学習を進めるかがポイントになります。
すべての工程を自分で行うことでより深い知識が身に付きやすいのはメリットですが、期限内に受験できず、受験資格を失ってしまうリスクもあるので注意が必要です。
スケジュール管理が難しい
独学の場合は、学習計画や進捗管理もすべて自分で行わなければいけません。
しかし、初めての受験だと出題範囲や勉強時間などのイメージが湧きにくく、精度の高いスケジュールを立てて管理することは非常に困難です。
計画と照らし合わせて、どこまで進んでいるか、どこが遅れているかなどのスケジュール管理を毎日行うのは、想像以上にハードでしょう。
その分学習できる時間が少なくなるので、合格までより多くの時間が必要になる点もデメリットです。
相談する相手がいない
学習を進める中で分からない点が出てきたときや、学習の進め方に不安を抱いたとき、すぐに相談できる相手がいないのも、独学のデメリットです。
この点は、講師への質問サービスや添削指導などがあり、困ったときにすぐに相談できる通信講座やスクールとの大きな違いと言えるでしょう。
相談相手がいないと、学習効率が悪くなるのも特徴。第三者からの意見や指導があると、自分の実力や得意・不得意分野を適切に判断でき、効率よく必要な学習を進められます。
モチベーション管理が難しい
孤独を感じやすいのも独学のデメリット。励まし合う相手や、相談できる相手がいないので、モチベーションの維持が難しいことが多いです。
うまく学習が進まない場合にも、自分で解決策を考えて進める必要があるので、自己管理が不得意な人にはあまり向いていません。
通信講座やスクールであれば講師や仲間に相談できるので、モチベーションを維持しながら学習を進められます。
司法試験・予備試験の独学が難しい理由
法律に対する正確な理解が求められるから
司法試験の難易度が高い理由の1つは、法律に対する正確な理解と専門的な知識が必要になるからです。
特に法科大学院の課程を修了しておらず、予備試験を目指している人の中でも、法律の勉強をしてこなかった人であれば、基礎知識から勉強し始めなければなりません。
もし誤った知識を身に付けることになれば、勉強した時間が無駄になってしまうでしょう。そのため、正しい知識を身に付けられる方法で学習する必要があります。
客観的な評価なしで成長しづらいから
独学の場合、他の方法よりも学習効率が悪いです。これは、自分だけで学習することで客観的な評価が得られないためです。客観的な評価がないと、自分の実力を適切に判断できません。
同時に正しい知識を持つ人に質問ができないと疑問を解消しにくく、壁を乗り越えられず挫折してしまう可能性もあるでしょう。
学習スケジュールの管理が難しいから
司法試験の難易度は高いため、必要になる勉強時間は膨大です。そのため、計画的に学習を進めなければなりません。
1人で学習を進める場合、モチベーションの維持が難しいことも独学の大きなデメリットです。
司法試験は受験資格を獲得してから約5年の間に合格しなければ、受験資格がなくなってしまいます。
モチベーション維持だけでなく、合格までの学習スケジュールを徹底しなければ、期限を迎えてしまい受験できなくなる可能性があります。
自身での情報収集が厳しいから
独学の場合では、参考書などが勉強の中心になるため、得られる知識が偏りやすいです。司法試験では幅広い範囲から出題されるため、対応できない問題が出題される可能性があります。
司法試験・予備試験の合格までにかかる期間
司法試験・予備試験の合格までに必要な学習時間は、独学でも5,000時間から8,000時間程度と言われています。
たとえば毎日3.5時間勉強した場合、合格までに約4年も掛かることになるので、長期間でも学習を継続できるような学習計画を立てることが重要です。
- 短答試験にかかる時間
- 論文式試験にかかる時間
- 口述試験にかかる時間
短答試験にかかる時間
司法試験・予備試験の短答試験は、法律基本が7科目(憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法)と一般教養(人文科学、社会科学、自然科学、英語)で構成。
すべてマークシート式で、法律基本科目はあわせて3時間半、一般教養は1時間半で行われ、1日で完了します。
配点は、法律基本7科目が合計210点、一般教養が60点の270点満点です。
合格ラインは公表されていませんが、独学で進めていき60~70%程度取れれば合格できるとされています。
論文式試験にかかる時間
論文式試験は、法律基本7科目とあわせて、法律選択科目1科目(倒産法・租税法・経済法・知的財産法・労働法・環境法・国際公法・国際私法)と、法律実務基礎科目2科目(民事実務・刑事実務)が出題範囲です。
掛かる時間は非常に長く、法律基本科目はあわせて8時間10分、法律選択科目は1時間、法律実務基礎科目は3時間となっています。
論文式試験は法的思考まで理解して回答する必要があるため、3種類の試験の中で最も難易度が高い試験と言えるでしょう。
暗記だけでは答えられない問題が多いので、考え方や背景までしっかりと独学で理解する必要があります。
口述試験にかかる時間
口述試験は口頭で問題に答える面接試験で、民事実務と刑事実務の知識について出題されます。
試験委員から投げかけられる質問に回答する形式なので、緊張して頭が真っ白になってしまわないよう、面接形式での練習をしておきましょう。
どのような質問がくるかと構えてしまうかもしれませんが、出題は法律実務基礎科目のうち民事実務と刑事実務と決められています。
短答式試験・論述式試験の学習をしっかりとしていれば答えられる問題が多いので、緊張せずに落ち着いて回答する練習をしておくのがおすすめです。
司法試験・予備試験の合格率
合格までに必要な学習時間が多く、独学だと難易度が高いイメージのある司法試験・予備試験。
ここからは、司法試験・予備試験の合格率について詳しく解説していきます。
- 司法試験の合格率の推移
- 予備試験の合格率の推移
司法試験の合格率の推移
司法試験の合格率の推移は以下の通りです。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和4年度 | 3,082人 | 1,403人 | 45.5% |
令和3年度 | 3,424人 | 1,421人 | 41.5% |
令和2年度 | 3,703人 | 1,450人 | 39.2% |
令和元年度 | 4,466人 | 1,502人 | 33.6% |
平成30年度 | 5,238人 | 1,525人 | 29.1% |
司法試験を受験するには受験資格を満たしている必要があり、法科大学院を修了するか、司法試験予備試験に合格するか、で受験資格を得られます。
ある程度知識のある人のみが受験できることから、独学だとしても合格率がそれほど低くない結果に繋がっていると言えるでしょう。
予備試験の合格率の推移
司法試験と比較して、さらに難易度の高い予備試験。
直近5年間の合格率の推移は以下の通りです。
年度 | 短答式 | 論文式 | 口述式 | 最終合格率 |
令和4年度 | 21.7% | 17.8% | 98.1% | 3.6% |
令和3年度 | 23.2% | 18.2% | 98.1% | 4.0% |
令和2年度 | 23.8% | 19.0% | 95.7% | 4.2% |
令和元年度 | 22.9% | 19.1% | 96.4% | 4.0% |
平成30年度 | 23.8% | 17.9% | 94.9% | 3.9% |
予備試験は、短答式試験に合格すると論文式試験を受験でき、短答式試験と論文式試験に合格すると口述試験を受験できる仕組み。
受験者数は毎年1万人前後となっていますが、合格率は4%前後と非常に難易度の高い試験であることが分かります。
独学より効率良く学ぶなら!司法試験・予備試験は通信講座がおすすめ
司法試験の学習方法には、大きく分けて予備校・通信講座・独学の3種類ありますが、コストと学習効率のバランスが良い通信講座がおすすめです。
予備校の場合、講師に質問できたり手厚いサポートが受けられるなどのメリットは大きいですが、通学の手間や費用が大きい点がデメリットです。
独学の場合、費用は安いですが学習効率は高くありません。その点、通信講座であれば、予備校よりも費用を抑えられ学習効率も高いです。
1つの講義時間は10分から30分ほどと短いものが多く、忙しい人でも隙間時間を見つけて学習できるでしょう。講義動画は何度も繰り返し見れるものが多く、理解できるまで復習しやすいです。
司法試験・予備試験のおすすめ通信講座3選
アガルートアカデミー
- 自分のレベルに合わせたカリキュラムを選べる
- 講義動画のスピードを調整できるので視聴しやすい
- 全ページフルカラーで見やすいテキスト
通信講座の特徴
アガルートアカデミーの講義は基本的にオンラインで展開されているため、インターネット環境があれば時間や場所を選ばず、パソコン・スマートフォンなどで受講できます。
また、講義の動画にはテキストが同時に表示されるため閲覧する必要はありません。講義動画の再生スピードは好みに合わせて調整でき、現在では0.5倍から3倍まで計8段階の中から選べます。
動画だけでなく音声もダウンロードでき、映像を見れない状況でも講義の音声を聞いて学習できるため便利です。
司法試験講座の特徴
アガルートアカデミーの司法試験講座は、初学者・中上級者・個別指導の3種類に分かれています。それぞれ、自分のレベルに合った内容からスタートできることも大きな魅力です。
中上級者の場合、それぞれのカリキュラムを自分なりに組み合わせることもでき、効率良く学習を進められます。
レベル | カリキュラムの内容 |
---|---|
初学者(学習未経験者)向け |
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中上級者(学習経験者)向け |
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個別指導 |
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このようにレベルに合わせたカリキュラムが整っているため、申し込み時の進度に合わせて学習をスタートさせることができます。
講師陣
アガルートアカデミーの司法試験を担当する講師は16名もいます。最も講師の人数が多い公務員試験とほぼ同等です。それぞれの講師は実績があるため、安心して講義を受けられるでしょう。
教材のポイント
アガルートアカデミーのテキストは、全ページフルカラーであるため見やすいことが特徴です。内容は、講師自らが作成しているオリジナルテキストです。
テキストを作成した講師が講義を行い、テキストと講義が一体となっているため、より分かりやすい内容になっています。
講座の価格例(税込) |
など |
主なサポート体制 |
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合格実績 | 司法試験合格率:47.8%(令和3年) |
運営会社 | 株式会社アガルート |
資格スクエア
- 講義の満足度は97.7%、カリキュラムの満足度は91%と高い
- 分からない部分はワンクリックで質問可能
- 充実した試験対策を提供している
通信講座の特徴
資格スクエアは、独自のメソッドにより最短合格できる勉強方法を適正価格で提供。IT技術や脳科学を活用した学習システムを扱っており、効率良い学習方法を利用できることが特徴です。
他にも、講義を聞いて分からないことは、その場でワンクリックで質問できるため疑問を解消しやすいです。
提供しているサービスの中には、AIが予想する短答対策模試「未来問」や、「口述模試」など試験対策も充実しています。
司法試験講座の特徴
講義の満足度は97.7%、カリキュラムの満足度は91%※と高く、充実した内容であるため、人気があります。テキストの有無を選択できるため、コストを抑えることも可能です。
この論文添削は業界の中でも多く、200通以上の答案に対して添削を行っているため、課題の課題を見つけやすく改善できます。
講師陣
資格スクエアの司法試験対策では、人気がある高野講師などが担当しています。特に予備試験などでは基本的な知識が必要になりますが、質の良い講義により満足度が非常に高いです。
教材のポイント
資格スクエアでは基本的にデジタル教材を利用しており、スマートフォンやパソコン、タブレットなどがあれば学習できます。
教材には条文リンク機能があるため、オンライン上で条文をクリックすることで、すぐに参照できます。
講座の価格例(税込) |
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主なサポート体制 |
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合格実績 | 非公開 |
運営会社 | 株式会社資格スクエア |
出典:資格スクエア公式サイト
※公式サイトの文言による
STUDYing
- 動画講義がメインなので手軽に学習できる
- 学習レポートで学習記録をつけられる
- 自分だけのオリジナルノートを作成できる機能がある
通信講座の特徴
STUDYingは、忙しくて勉強時間を確保するのが難しい人でも、短い期間で合格できるように開発されたオンラインの講座です。
メインは動画による講義であるため、重いテキストを持ち運ぶ必要はなく、スマートフォンやパソコンなどで学習できます。
他にも、学習レポート機能などモチベーションを維持しながら学習を進められる機能もあるため、有効活用するのがおすすめです。
この学習レポート機能では、学習した時間・進捗状況が自動的に集計されグラフとして表示されます。
司法試験講座の特徴
司法試験講座はWeb講義が中心であり、動画・音声で学習を進められます。各コンテンツは通常速版だけでなく、1.5倍速、2倍速があるため、状況に応じて使い分けしやすいです。
論文試験の対策もあり、答案の書き方を身につけやすいです。この講義では、問題文の読み解き方、答案の構成、論述方法、答案表現などの対策を行えます。
教材のポイント
STUDYingの教材には効率良く学習を進めるための機能が備わっています。スマート問題集では、一度解いた問題の中で間違えた設問だけを出題できます。
苦手な問題を繰り返し解くことで、苦手分野を攻略しやすいです。
問題に対しては分かりやすく丁寧な解説がついているため、理解を深めやすいでしょう。他にも、「マイノート機能」があり、自分だけのオリジナルノートを作成できます。
講座の価格例(税込) |
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主なサポート体制 |
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合格実績 | 記載なし |
運営会社 | KIYOラーニング株式会社 |
よくある質問
カラー、図、表、文字量など、自分がインプットしやすい教材を探すことが大切です。
まとめ
この記事では、司法試験・予備試験が独学で合格できるのかを解説しました。司法試験を独学で合格することは不可能ではありませんが、非常に難しいです。
独学だと法律に関する正しい知識を身に付けるのが難しいだけでなく、徹底したスケジュールやモチベーション管理を長期間自分で行わなければなりません。
そのため、コストパフォーマンスが良い通信講座を利用するのがおすすめです。学習への取り組みやすさがあるため、働きながらでも学べます。